土にこだわり高品質イチゴを栽培「ただかね農園」
秩父地域は、イチゴ栽培や出荷の最盛期を迎えています。下吉田地域で「ただかね農園」を経営する、髙野さんは、イチゴの栽培に奮闘しています。
髙野さんは、県立秩父農工科学高等学校の農業科を卒業。園芸関係の仕事をしていましたが、父の希望から、同園を継ぎ、17年になります。現在は、JAいちご部会の副部会長も務めます。
5棟(1棟は苗栽培)のハウス約45㌃の圃場で、イチゴの栽培をします。両親や妻、パート職員の8人で運営。「いちご狩り」が楽しめ、「幸の香」「あき姫」「紅ほっぺ」「もういっこ」「かおり野」の5品種を食べ比べられます。
園内直売所では、「やよいひめ」や2種類の県産新品種「埼園い1号」と「埼園い3号」のイチゴも購入できます。JAちちぶ農産物直売所にもイチゴの出荷をします。子供から大人まで楽しめるよう「うさぎの学校」や「キッズコーナー」などの工夫もし、車椅子でのイチゴ狩りにも対応します。(要予約)
栽培には、土耕栽培を採用します。高品質でおいしいイチゴ作りを目指し、土作りにもワイン堆肥を使うなど力を入れています。日々の気候により、ハウス内の気温や湿度、風の流れなどの空調管理にも気を使い、栽培管理も徹底します。自身の子供も食べることもあり、農薬も極力使わず、安心・安全なイチゴ栽培をします。
平成26年2月に同地域を襲った記録的な大雪では、ほぼ全棟が倒壊。髙野さんは「経営を辞めようかと思った」と振り返りました。県や市による雪害対策や補助金により、ハウスを再建。費用はあまりかけず、構造的な工夫で補強もしました。
平成27年3月に開かれた、第1回JAいちご部会圃場共進会では、同園の「やよいひめ」が最高順位の県知事賞に選ばれました。
今後の経営方針としては、同園のイチゴを「大地のいちご」として、ブランド化を目指します。
髙野さんは「10年を越えてから色々とわかってきた。味には、自信をもっている。日本一美味しいと言ってもらえる、イチゴを作りたい。気候などにより、味が変わるので、美味しさを保つのに苦労する。農業は、経営者の立場になるため、大変な部分も多いが、理想を追いやすい。法人化し、色々な企業とも関わっていきたい。」などと話しました。
同地域のイチゴは、1月(早い農園は12月から開園)からはじまり、初夏の6月中旬までイチゴ狩りが楽しめます。昼夜の寒暖差が大きくイチゴに甘味がのります。同地域は、高齢化が進み人口が減る中、イチゴ農園では、多くの観光客が訪れ、若い生産者や担い手も多くいます。