日本の農林業の課題と将来、農協改革を考える

JAちちぶは、平成30年3月9日、秩父市歴史文化伝承館2階ホールにて、「日本の農林業の課題と将来を考える」として、特別講演会を入場無料で開き、元全中会長でJA新潟中央会名誉会長の萬歳章氏が農協改革TPP(環太平洋連携協定)が地域農林業に及ぼす影響について呼び掛けました。

東京農業大学校友会埼玉支部やちちぶ定住自立圏、県森林組合連合会が共催し、県が後援。県内JA役職員や組合員、県や市、町の議員や職員ら約240人が参加しました。

 

第1部は、東京農業大学地域環境科学部の宮林茂幸教授から「日本農林業の動向と埼玉県農林業の課題と将来展望」について、パワーポイントによる資料を基に講演がありました。

宮林教授は「今後の農林業の大きな課題は、人材育成だ。自然にふれることの少ない人が、環境問題について語るのは、中身があまりない。」と話し、荒川流域交流による地域創生の方向について「循環型社会の形成のための地域づくりで地域文化の再生」「流域社会の形成(荒川連携)で参加型による社会づくり」「健康的で、多様な文化が醸成する地域づくりで、地方経済の振興(観光)」による安心安全なふるさとづくりが必要だと呼び掛けました。

 

第2部では、萬歳氏から「TPP協定・農協改革が地域の農林業に及ぼす影響と振興・発展方向」を演題に講演がありました。

萬歳氏は、平成23年から4年間、JA全中の会長を務めました。講演では、東日本大震災の復興もままならない中行われた、TPPの反対運動を振り返り「日本の農業がなくなってしまう。日本の食糧自給率は約6割が輸入に依存している。輸出できる農産物は一部だけで、成長産業として、農業が輸出で担うのは難しい。地方農業が縮小してしまう恐れがある。農業は国の基本で、国からの支援が必要だ。」と強調しました。また、「自民党は選挙公約の中で、TPP交渉参加に反対だとしていた」と話しました。

農協改革の経緯などについても「誰の、何のための改革なのか、国からきちんとした説明はなかった。」と語り、「准組合員規制とJA全中の一般社団法人化についても、天秤に掛けられた。准組合員は農業振興の同志だ。系統性・総合性があり、相互扶助によって成り立つのがJAの基本だ。」と続けました。今後は、日本の人口減少が進む中、「地方の活性化が改革の中心となる。多面的な機能があり、地域に合った農業が必要だ。」と地方創生の必要性についても話しました。

 

宮林教授による講演

宮林教授による講演

 

萬歳氏による講演

萬歳氏による講演