秩父限定品種「いろどり」繭を使った「いろどり繭の石鹸」
埼玉県秩父地域では、県産ブランドで秩父限定品種の「いろどり」繭が生産されています。
従来の和装需要のみに依存する繭需要構造から、新たな分野における用途開発による、需要拡大が必要となり、「いろどり」繭を使った、「石鹸」や「化粧品」などの商品開発が進められています。
きっかけは、繭から生糸を繰糸(そうし)する製糸工場の繰糸工員(大部分は女性)は、手がきれいだといわれていることです。これは、繰糸用水に溶出したシルクタンパク質「セリシン」が高い保湿機能や抗酸化作用、紫外線吸収機能などを有しているからです。
このことに着目し、平成10年から「いろどり」繭を使った化粧品の開発に向けて、研究が始まりました。
「いろどり」繭は、フラボノイド色素を多く含む淡い黄緑色に近い笹繭で、糸にこしやはりがあります。一般の普通繭(白繭)にはない抗菌作用があり、シルクタンパク質「セリシン」を多く含むのが特徴です。
この強みを生かし生まれたのが、化粧石鹸「いろどり繭の石鹸」です。無香料・無着色・ノンパラベン(防腐剤無添加)で製造し、JAちちぶが発売元となり、主に、同JA農産物直売所や同JAネットショップなどで販売をしています。素肌に優しい天然素材で、自然派志向の人からの評判も上々です。
利用者からは「保湿力があり、つっぱり感が少ない。肌が弱いが使えている。天然素材でできているので、子供にも安心して使わせられる。」などと好評です。
「いろどり」繭は、従来の和装需要などでは、摩擦に強いなどの特徴もあり、高級布団の側生地や真綿に多く使われるほか、西陣織の帯地や高級和装織物などにも使われます。
同地域では、古くから養蚕が盛んで、現在も地域の重要な作目の一つです。毎年12月3日に開かれ、平成28年に屋台行事と神楽がユネスコ無形文化遺産に登録された、日本三大曳山(ひきやま)祭りの一つ、「秩父夜祭り」も一年の最後を飾る絹の大市の付祭りが発祥ともいわれ、別名「お蚕祭り」ともいわれています。
しかし、高齢化や担い手不足、絹の需要及び繭価の低迷により、農家戸数が減少しています。その中、産地の希望が県産ブランドで秩父限定品種の「いろどり」繭です。他産地との差別化した繭生産と産地の活性化に繋げます。
「いろどり繭の石鹸(110g)」の問い合わせ先は、JAちちぶ営農経済部(TEL 0494‐63‐2020)まで。