今年の養蚕に感謝し祈願/優良繭生産で金崎國雄さん県知事賞
平成28年12月2日(宵宮(よみや))3日(本祭(ほんまつり))に開かれた「秩父夜祭」は、別名「お蚕祭り」とも言われ、繭を大神様に奉献(ほうけん)し、1年間の恵みに感謝します。翌日4日、JAちちぶ養蚕部会は、秩父神社にて「養蚕倍盛祈願祭(蚕糸祭)」を厳(おごそ)かに執り行い、生産者や養蚕関係者、JA役職員ら39人が出席しました。
蚕糸祭(さんしさい)は、同神社本殿にて、生産者を代表して、同部会の宮﨑部会長が神社に繭を奉納。JAや行政機関、製糸協会代表者、県議会議員らが玉串奉奠(たまぐしほうてん)しました。
蚕糸祭終了後、敷地内にある参集殿に場所を移し、秩父郡市養蚕振興奨励会表彰式も行われました。表彰には、収量の年間平均が、秩父地域の中で模範的な成績を収めた養蚕農家の優良繭生産の部。秩父地域養蚕業の振興・発展に貢献したと認められる団体及び個人の養蚕振興功労者の部で行なわれ、秩父市の金崎さんが、県知事賞を受賞しました。
その他の褒章は以下のとおり。埼玉県秩父農林振興センター所長賞・浅見さん(小鹿野町)、秩父神社宮司賞・黒沢さん(小鹿野町)、県製糸協会長賞・村田さん(長瀞町)、ちちぶ農業協同組合長賞・宮本さん(小鹿野町)
今年は、春蚕期(しゅんさんき)の雨量不足や夏蚕期(かさんき)の猛暑、晩秋蚕期(ばんしゅうさんき)の長雨などの天候不順の影響を受けました。出荷量は減ったものの、各生産者の経験や技術により、品質の良い繭が出荷できました。晩々秋蚕期には、増産を図るため、各農家の蚕の飼育量を増やし、努力しました。
宮﨑部会長は「今年は秩父夜祭がユネスコ無形文化遺産に登録され、秩父の養蚕も注目される。これからも部会員や各関係機関と協力し、養蚕の灯を護り続けていきたい。」などと話しました。
同部会では今年度、「いろどり繭」を春蚕期の1回、「白繭」を夏蚕期、晩秋蚕期、晩々秋蚕期の3回の計4回飼育し、出荷しました。出荷量は、前年比約95%となりました。
同地域は、古くから養蚕が盛んで、現在も地域の重要な作目として位置付けられています。「秩父夜祭」も、1年の最後を飾る絹の大市の付祭りが発祥ともいわれています。日本三大曳山(ひきやま)祭りの1つで、今年、同祭の屋台行事と神楽(かぐら)がユネスコ無形文化遺産に登録され、2日間で約32万人が訪れました。しかし、高齢化や担い手不足、絹の需要及び繭価の低迷により、農家戸数は減少しています。県産ブランドで秩父限定品種の「いろどり繭」による差別化した繭生産と産地の活性化を図ります。