今年度の初出荷にむけて稚蚕共同飼育
JAちちぶ養蚕部会は、5月13日から22日まで、埼玉県農林総合研究センター秩父試験地内の稚蚕飼育場で、春蚕稚蚕(ちさん)共同飼育を行った。今年度の初出荷にむけて、秩父地域の養蚕業が活気づきます。
部会員からは「今年は、良い桑の葉が順調に生育している。蚕の生育にも期待できる」と期待の声も上がっています。
春蚕期(しゅんさんき)は、「いろどり」の稚蚕を共同飼育しました。
飼育には、部会員やJA職員、県秩父農林振興センター職員、農業共済職員ら8人が参加。春蚕期の「いろどり」繭の収繭(しゅうけん)・出荷に向けて、準備が行なわれました。
2齢期までの稚蚕は体が小さく、弱いので温度や湿度の飼育管理を徹底し、病気にならないよう、清潔な環境で飼育しなければなりません。そのため飼育が大変な稚蚕期を共同で飼育します。「いろどり」の蚕は普通の蚕よりも少し小さいです。
作業は、初日の13日に施設内の消毒などの掃立(はきたて)作業の準備を行います。
14日より蚕室内にて、蚕箔(さんぱく)に蚕座紙(さんざし)・防乾紙を敷き、その上に卵を植え付けた「蚕種の枠」を開いて置きます。その上に自動給餌機で裁断した人工稚蚕飼料「くわのはな」を与え、鳥の羽で掃いて整える作業を行います。眠中(脱皮中)以外には毎日給餌し、22日に2齢になった蚕を各農家に配蚕(はいさん)します。
今期の配蚕量は、25箱(1箱約27000粒)です。配蚕された蚕は、5齢で上蔟(じょうぞく)、収繭し、出荷します。
秩父地域は、古くから養蚕が盛んで、現在も地域の重要な作目の一つです。しかし、高齢化や担手不足、絹の需要及び繭価の低迷により、農家戸数が年々減少しています。県産ブランドで秩父限定品種の「いろどり」繭で、他産地との差別化した繭生産と産地の活性化を図ります。「いろどり」繭は、フラボノイド色素を含む笹繭で、淡い黄緑色が特徴。白繭に比べ、こしやはりがあります。
同部会では今年度、「いろどり」繭を春蚕期の1回、「白繭」を夏蚕期・晩秋蚕期・晩々秋蚕期の3回。計4回の出荷を計画します。「いろどり」繭の出荷は、6月中旬に行なう予定です。