新規就農、ブランドきゅうり次世代へ
埼玉県西部の中山間地域に位置する、秩父地域には、県産ブランド推進品目の「秩父きゅうり」があります。
小鹿野町の守屋さん(40)は、父が経営する合同会社守屋農園で、「秩父きゅうり」の栽培・出荷に奮闘しています。
祖父は、秩父きゅうりを初期から生産し、ブランドとして盛り上げていったメンバーの1人で、守屋さんは3代目です。
就農前は、会社勤めをしながら、出勤前の朝や休日に栽培管理や収穫を手伝っていました。
4年前に地域を襲った記録的な大雪の被害を受けて、ハウスが倒壊。それをきっかけに「父の姿を見て育ち、長男としていつかは継ぐ」という想いが以前からあり、勤め先を辞めて本格的に就農しました。ハウスは、県や町による雪害対策や補助金により再建。現在、大型ハウス3棟、パイプハウス5棟の約4000㎡で秩父きゅうりを栽培します。JAちちぶ青年部にも所属し「若手の生産者と意見交換をしていき、秩父の農業を盛り上げていきたい」と意気込みます。
農園は、JA園芸部会に所属し、従業員8人で運営。栽培した秩父きゅうりは、主にJA小鹿野集出荷所で検査し、東京市場へ出荷します。出荷先からは規格統一が徹底され、品質も味と香りが大変良いと高く評価されています。
新規就農者の研修生受入指導農家としても、多くのキュウリ栽培研修生を受け入れ、育成もしています。
土づくりには、牛糞堆肥を主にボカシ肥料などの有機質肥料を使います。一作につき追肥を2回は行うなど、栽培管理も徹底します。昔ながらの栽培方法に新たな技術も取り入れ、良質な秩父きゅうりの生産を追及します。
加工品にも力をいれ、昨年は秩父きゅうりを使った「かっぱのサイダー」を製造し、JA直売所等で販売しています。
守屋さんは「出荷できない形の悪いキュウリの利用方法が今後の課題だ。土づくりには力を入れながらも生産の効率化を図り、将来的には、圃場を広げていきたい。収量を増やして、より良いキュウリを栽培したい」と今後の生産について話し、「子供の時から祖父や親の姿をみてきた。若手や自分の子どもにも良い姿を見せていき、次の世代がやりたいと思える農業を目指したい。」と楽しい農業を目指します。