秩父の伝統を守る/繭出荷に向けて晩々秋蚕期稚蚕共同飼育
JAちちぶ養蚕部会は、平成28年9月7日から16日まで、埼玉県農林総合研究センター秩父試験地内の稚蚕飼育場で、今年度最後の晩々秋蚕期(ばんばんしゅうさんき)の稚蚕共同飼育を行いました。部会員、JA職員、県秩父農林振興センター職員など7人が参加しました。晩々秋蚕期の「白繭」の収繭(しゅうけん)・出荷に向けての準備が行なわれました。「白繭」の蚕は秩父限定品種の「いろどり」よりも少し大きい。
2齢期までの稚蚕は体が小さく、弱いため温度や湿度の飼育管理をしっかりし、病気にならないように清潔な環境で飼育しなければなりません。そのため、飼育が大変な稚蚕期を共同で飼育します。
作業は、初日の7日に消毒などの掃立(はきたて)作業の準備を行います。
8日より蚕室内にて、蚕箔(さんぱく)に蚕座紙(さんざし)・防乾紙を敷き、その上に卵を植え付けた「蚕種の枠」を開いて置き、その上に自動給餌機で裁断した人工稚蚕飼料「くわのはな」を与え、鳥の羽で掃いて整える作業が行われました。その後は、眠中(脱皮中)以外には毎日給餌し、16日に2齢になった蚕を各農家に配蚕(はいさん)しました。今期の配蚕量は、16.5箱(1箱約27000粒)です。配蚕された蚕は、5齢で上蔟(じょうぞく)、その後収繭し、出荷となります。
秩父地域は、古くから養蚕が盛んで、現在も地域の重要な作目として位置付けられます。日本三大曳山(ひきやま)祭りの1つである秩父夜祭りも、1年の最後を飾る絹の大市の付祭りが発祥ともいわれています。しかし、高齢化や担手不足、絹の需要及び繭価の低迷により、農家戸数が年々減少しています。
同部会では、今年度10件の養蚕農家が、「いろどり繭」を春蚕期(しゅんさんき)の1回、「白繭」を夏蚕期・晩秋蚕期・晩々秋蚕期の3回。計4回の出荷を計画しています。晩秋蚕期は10月1日、晩々秋蚕期は、10月下旬に収繭、出荷する予定です。