秩父限定品種「いろどり繭」出荷

埼玉県秩父地域では、古くから養蚕が盛んで、現在も地域の重要な作目として位置付けられる伝統産業です。しかし、高齢化や担い手不足、絹の需要及び繭価の低迷により、農家戸数が年々減少していることから、県産ブランドで秩父限定品種の「いろどり」繭による差別化した繭生産と産地の活性化を図っています。

JAちちぶ養蚕部会は、平成29年6月20・21日の2日間、秩父市、同JA秩父西支店敷地内の出荷所にて、今年度初の繭の選繭(せんけん)と出荷作業をしました。部会員やJA職員、県秩父農林振興センター職員らが参加。春蚕期(しゅんさんき)は、「いろどり」繭を出荷します。2日間で9軒の農家が出荷します。集められた繭は、宮﨑部会長宅で乾燥し、製糸業者へ出荷されます。

部会員の村田さんからは「春は蚕の飼育が難しい。今年は、最低気温が高めだったので、蚕の成育がとても順調だった。粒がそろった、良い繭が多く出荷されている。」などと笑顔がこぼれました。

 

繭は、県農林総合研究センター秩父試験地内の稚蚕飼育場にて、2齢まで育てた蚕を5月22日に各農家へ配蚕し、育てたものです。

同部会では今年度、「いろどり」繭を春蚕期の1回、「白繭」を夏蚕期・晩秋蚕期・晩々秋蚕期の3回の出荷を予定。目標出荷数量は、昨年度の出荷量約3.2tを上回る、3.5tの出荷を計画します。

 

「いろどり」繭は、フラボノイド色素を含む笹繭で、淡い黄緑色が特徴。こしやはりがあり、白繭にはない抗菌作用をもつ。抗菌作用があり、摩擦に強いなどの特徴から、高級布団の側生地や真綿に多く使われ、西陣織の帯地や高級和装織物などにも使われます。また、保湿効果や抗酸化作用、紫外線吸収機能に優れる、シルクタンパク質「セリシン」を多く含みます。和装需要のみに依存する繭需要構造から、新たな分野における需要拡大が必要となり、「石鹸」や「化粧品」などにも商品開発が進められています。

 

同地域で、毎年12月3日に開かれる、日本三大曳山(ひきやま)祭りの一つである秩父夜祭りも、一年の最後を飾る絹の大市の付祭りが発祥ともいわれ、別名「お蚕祭り」ともいわれます。翌日4日には、秩父神社にて「養蚕倍盛祈願祭(蚕糸祭)」が執り行われます。

夏蚕期の蚕は、7月1日に各農家に配蚕する予定です。

 

選繭作業

選繭作業