秩父限定品種「いろどり繭」出荷
JAちちぶ養蚕部会は、秩父限定品種「いろどり繭」により、県産ブランドの差別化と産地の活性化に力を入れます。
平成28年6月21・22日、秩父西支店内の出荷所にて、春蚕期(しゅんさんき)となる「いろどり繭」の選繭(せんけん)・出荷作業を行いました。
県農林総合研究センター秩父試験地内の稚蚕飼育場にて、2齢まで育てた蚕を各農家へ配蚕(はいさん)し、育てたもので、当日は約1100kgを製糸業者へ配送しました。
宮﨑豊二部会長は「今年度のいろどりは、作柄がとても良い」などと話しました。
県産繭の品質向上を図るため、昨年に続き、生産者ごとの選除繭(せんじょけん)調査や蚕病(さんびょう)調査を行ないました。同調査は、各生産者の出荷繭の中から50粒を無作為に抽出し、農家立会いのもと繭の内外部の汚染、穴あき、奇形などの調査をします。繭を切り、蚕蛹(さんよう)の未化蚕、はなつき、硬化病、軟化病などを調査しました。調査を担当した県製糸協会技術顧問の佐野悟郎さんは「全体的に病気も少なく、良いものが多い」と話しました。今後も出荷前には同調査が継続して行なわれます。
秩父地域は、古くから養蚕が盛んで、現在も地域の重要な作目として位置付けられています。日本三大曳山(ひきやま)祭りの一つである秩父夜祭りも、一年の最後を飾る絹の大市の付祭りが発祥ともいわれています。しかし、高齢化や担い手不足、絹の需要及び繭価の低迷により、農家戸数が年々減少していることから、県産ブランドで秩父限定品種の「いろどり繭」による差別化した繭生産と産地の活性化を図ります。「いろどり繭」は、フラボノール色素を含む淡い黄緑色で、こしやはりがあり、摩擦に強いなどの特徴から、西陣織の帯地や高級和装織物等に使用されます。また、普通繭(白繭)に比べてシルクタンパク質「セリシン」を多く含みます。「セリシン」は保湿効果、抗酸化作用、紫外線吸収機能に優れ、その特性を生かした「石鹸」や「洗顔パフ」「肌着」「化粧品」などにも商品開発が進められています。
同部会では今年度、会員10戸が「いろどり繭」は春蚕期の1回、白繭を夏蚕期・晩秋蚕期・晩々秋蚕期の年3回の計4回を計画します。