耕作放棄地も有効利用で新規就農
秩父地域では、春蒔きインゲンの出荷が始まりました。
秩父市で就農した、石橋さん(45)は、耕作放棄地も利用し、地域の特産の一つでもある、「秩父いんげん」の栽培や出荷に奮闘しています。
同地域は中山間地域に位置し、石橋さんは、「秩父は第一次産業がしっかりしていないと駄目だ」と感じていました。勤めていた会社を辞めて一念発起し、県農業大学校基本技術科実践コースを卒業。県秩父農林振興センターの佐野部長から就農にむけて指導を受け、平成28年に就農しました。
農産物の栽培には、センターの松葉口課長から、同地域の特産物の一つで、確実に収益が得られる、JA出荷のインゲンを勧められ、JAちちぶ園芸部会に所属します。JA出荷のインゲンを主軸に、露地栽培野菜の直売所出荷を組み合わせた経営をしています。
インゲンの栽培は、同部会員の黒沢さんや新井さんから指導を受け、高品質なインゲンの栽培を目指します。栽培品種は、長期多収で病害にも強く、曲がりの少ない「いちず」です。JAなどが開く、講習会には積極的に参加し、病害虫の防除のため、下葉を落とし、圃場の風通しを良くするなど、管理を徹底します。
同部会のインゲンは、厳格な規格の管理や統一と生産履歴の記帳の徹底、品質や味が良いことから「秩父いんげん」として、市場からも高い評価を得ています。
インゲンのほかには、ニンジンやブロッコリー・トウモロコシ・タマネギなどの露地野菜を栽培し、直売所などへ出荷します。同地域は、昼夜や年間を通しての気温差が大きく、味が濃い野菜や果物が栽培されます。
栽培には、化学肥料の使用は少なく、有機質の肥料を主に使い、安心で安全な野菜の栽培を心がけます。同地域は高齢化などの影響から、耕作放棄地が多く、石橋さんはそれらの農地も借りて栽培します。
今年の作付けは、春蒔きインゲンを約4a、秋の抑制インゲンを約6aのほか、露地野菜を約20aで栽培する予定です。
石橋さんは「農作物をお金にするのは、大変だが、自分の仕事が良くも悪くも反映するので、やりがいがある。趣味が山登りで、ヒマラヤなどにも登った。自然が好きなので、会社勤めをしていた時のようなストレスは少ない。秩父の野菜は味が濃くておいしいので、多くの人に食べてほしい」などと話しました。
これからの経営方針では、太田という地域でも少ない平坦な土地柄を生かし、露地栽培のほかに施設栽培を組み入れた農業を目指します。