蚕糸祭
平成29年12月2日(宵宮(よみや))3日(本祭(ほんまつり))に開かれた「秩父夜祭(ちちぶよまつり)」は、一年の最後を飾る絹の大市の付祭りが発祥ともいわれ、別名「お蚕祭り」とも言われます。繭や地域の農産物などを大神様に奉献(ほうけん)し、一年間の恵みに感謝します。
翌日4日にJAちちぶ養蚕部会は、秩父神社にて「養蚕倍盛祈願祭(蚕糸祭)」を厳(おごそ)かに執り行い、県内各JA養蚕部会の生産者や養蚕関係者、県内JA役職員、県職員ら60人が出席しました。
蚕糸祭(さんしさい)は、同神社本殿にて、生産者を代表して、同部会の宮﨑部会長が神社に繭を奉納。JAや行政機関、製糸協会代表者、県議会議員らが玉串奉奠(たまぐしほうてん)しました。
今年は、県内の養蚕農家の白繭や「いろどり」繭、宮中の御養蚕所にて、皇后陛下が飼育する「小石丸」の繭を収めた額も奉献。除幕式も行われ、拝殿に飾られました。
同部会では今年度、「いろどり繭」を春蚕期の1回、「白繭」を夏蚕期、晩秋蚕期、晩々秋蚕期の3回の計4回飼育し、出荷しました。春蚕期(しゅんさんき)の雨量不足や8月の日照不足などの天候不順の影響を受けたものの、良品質な繭の出荷ができました。出荷量は前年比約95%です。
宮﨑部会長は「今年は天候の変化が激しく、蚕の飼育に苦労した。出荷した繭は各部会員の経験と努力のおかげで、良質なものが出荷できた」と話しました。
同地域は、古くから養蚕が盛んで、現在も地域の重要な作目として位置付けられる伝統産業の一つです。「秩父夜祭」は、日本三大曳山(ひきやま)祭りの一つで、昨年、同祭の屋台(山車)行事と神楽(かぐら)がユネスコ無形文化遺産に登録され、2日間で約30万4千人が訪れました。しかし、高齢化や担い手不足、絹の需要及び繭価の低迷により、農家戸数は減少しています。県産ブランドで秩父限定品種の「いろどり」繭による差別化した繭生産と産地の活性化を図ります。