長瀞でイチゴ栽培15年
埼玉県秩父地域でも有数の観光地の一つ、長瀞町で福島さん(35)は、観光イチゴ農園「長瀞福島農園」の経営をしています。
福島さんは、県立秩父農工科学高等学校の農業科を卒業後、県農業大学校で2年間勉強。20歳で就農してイチゴの栽培に励んで15年です。
就農のきっかけは、農家の両親との話し合いや地域が観光地だったことからです。
今年のイチゴの生育は少し遅れたものの、病害虫の発生も少なく良質なイチゴが生育し、順調です。12月上旬から収穫・出荷が始まり、下旬から5月末まで開園予定です。
JAちちぶいちご部会にも所属し、今年の8月に部会長に就任しました。同部会は地域の他の部会に比べ、平均年齢が若く、世代交代している農園も多くあります。
同農園は、長瀞地域で唯一の観光イチゴ農園で、妻と2人で約15aのハウスで運営。「やよいひめ」「紅ほっぺ」「とちおとめ」の3種類を栽培し、いちご狩りが楽しめ、来場客からは「味が濃くて美味しい」と好評です。3品種の他に県育成新品種「あまりん」「かおりん」も栽培しています。
6次産業として加工品にも力を入れ、「イチゴジャム」や「イチゴプリン」も生産しています。12月下旬には「イチゴサイダー(仮名)」も新発売する予定です。
いちご狩り以外の主な販路は、同園の直売所や同JA農産物直売所などへ出荷します。
栽培には、土耕栽培を採用。日々のハウス内の気温や湿度、空調管理などの栽培管理を徹底します。今年から白マルチを敷き、光の反射により、光合成を促して収量増大を図ります。今後、規模の拡大も検討しています。
福島さんは「長瀞は秩父地域でも有名な観光地の一つなので、県や町、JAなどと協力して、地域の農業を盛り上げていきたい。農業をやっていると収穫の喜びを味わえる。お客さんに美味しいといってもらえることが、何よりうれしい」と話しました。
秩父地域のイチゴは、1月(早い農園は12月から開園)からはじまり、長い農園では6月中旬までイチゴ狩りが楽しめます。昼夜の寒暖差が大きくイチゴに甘味がのり、初夏になっても味が落ちにくいです。同地域は、高齢化が進む中、イチゴ農園では、多くの観光客が訪れ、若い生産者や担い手が多くいます。
地域では冬の観光として「荒川ライン下り こたつ舟」(12月上旬~3月中旬)、大滝・小鹿野・横瀬地域にある「秩父路三大氷柱」(1月上旬から2月中旬)や長瀞町の宝登山「臘梅(ろうばい)園」(1月下旬から3月上旬)などが見ごろを迎えます。